〈長本和子さん「イタリア、マンマの台所」、中部イタリアのパスタ〉
「パスタを見ると、その土地の風土や歴史が見えてくる」と、長本さん。
イタリア料理は、郷土料理。「その土地でとれる食材で料理をつくる」のが基本。
特にパスタには、使う粉やソースの材料、チーズの種類、油脂などに、その土地ならではの特徴がよくあらわれているのだそう。
今回テーマの中部イタリアは、軟質小麦の産地。小麦粉(日本でつくるなら中力粉)に塩、オリーブオイル、水(ぬるま湯)。それだけを材料に、生地をこねて延ばしたら、形状をさまざまに工夫。
形が変わるだけで、びっくりするほど食感が変わり、ソースとの絡みぐあいも違います。楽しい♪
しみじみ感じるのは、“マンマの愛情”。
決して贅沢とはいえない材料でも、知恵と工夫で絶品の料理に。
「愛情たっぷりの食事を家族に食べさせたい」というマンマの思いがベースにあることを、さまざまにユニークな形のパスタを見るたびに実感し、心がポッと温かくなるのでした。
Menu
・ピーチと にせものソース
・ストロッツァプレーティ 海の幸のソース
・鶏の悪魔風
「ピーチと にせものソース」
Pici con sugo finto
@昨日の長本和子マンマのレッスン
ピーチは、うどんのような長い手打ちパスタ。ムチムチ食感。
そして「にせものソース」。
何だ?と思ったら、「にせもの“ミート”ソース」。
お肉の代わりに、大豆ミートなんて贅沢なものは入れませんよ。にんじん、玉ねぎ、セロリ…もう、野菜だけ!ひたすら粒状に細かく刻んだら、オリーブオイルと塩でじっくり炒めて旨みを引き出す。つぶつぶ食感が、お肉…っぽい?!
「はい、今夜はミートソースよ♪」
「もう〜、母さんたら、お肉なんてどこにも入ってないじゃない!ん〜、でもとっても美味しい!」
ワハハハ♪(全編イタリア語)
なんて、楽しい食卓の情景が浮かんでくるようです。妄想。
イタリア料理の好きなところが、すごく詰まっている一皿だなぁ、と思います。
長本さんがよくおっしゃる「クッチーナ・ポーヴェラ cuccina povera(= 庶民の料理)」。
日々の暮らしの中、少ない材料でいかに美味しい料理をつくり、家族を楽しませるか。
その愛情や知恵こそが「豊かさ」なのだと感じます。
とっても美味しかったです。
長本マンマ、ごちそうさまでした!
〈鶏の悪魔風 Pollo alla diavola〉
「形が悪魔の顔に似ている…」というのが、この恐ろしい名前の由来(の一つ。諸説あり)とか。
丸鶏をこんな形に開いたら、よーく熱したフライパンで、ジューッ!バチバチッ‼︎と音が出るくらい皮目を焼き付けます。
まるで業火で焼かれるごとく!
そして、粒マスタードをこれでもか!と悪魔の表情で乗せる!(塗るというより、盛る!)
生パン粉を降ってオリーブオイルをまわしかけ、オーブンへ。
食べたら、悪魔的に美味しい!!
という、悪魔連呼の一皿ですが、召し上がる皆さんのお顔は、まるで天使でした♡
●次回は6/20(日)10:30〜「プーリア州の夏料理」です。